丘の風景

北海道上川支庁・美瑛町

 北海道の中央部に位置する美瑛町。十勝岳連峰のすそ野にあり火山の噴火による溶岩や火山灰が積みあがって形成された土地だ。ここには100年を超える開拓の歴史があり、荒野を切り開き農地として開墾されて畑作が盛んになった。傾斜地への対策、降雨による土の流出、やせた土壌、先人たちから引き継がれた農家の知恵と苦労がここにはあるのだ。 

 波状丘陵の畑には30以上の作物が栽培され、年ごとに、季節ごとに様々なパッチワーク模様を生み出す。農家の作業小屋や地境を示す林などが、ほどよいポイントとなって風景を引き締めている。また、クリスマスツリーの木、親子の木、ケンとメリーの木など、名前が付けられて観光スポットになっている。

 

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春~spring


冬に積もった雪が消え土起こしや耕作が始まる春。茶色い大地に畝模様が広がり北海道らしい風景だ。特に雨上がりの茶色の濃淡の変化が美しい。トラクターなどが活発に走り回るのもこの時期だ。

春捲き小麦や豆などが植えられ、前の年の秋捲き小麦の緑が大きくなる。畑の周囲の木々が薄緑に芽吹きや背景の十勝岳連峰の残雪の白が美しい。


夏~summer


6月から9月にかけては畑の作物が次々と成長し、パッチワークの彩りがピークを迎える。

6月下旬から7月にかけてジャガイモの花が可憐に咲き、秋捲き小麦の穂が薄緑の絨毯のように風にそよぐ。

7月後半になると小麦は黄金色に変わり、春捲き小麦がそれを追いかけるように輝きだす。

そして8月上旬は収穫だ。この時期は麦草ロールがコロコロと出来上がっていくのも見てて楽しい。

収穫後の畑には、土壌改良や緑肥としてキガラシ(菜の花)やヒマワリが植えられる。春から秋まで見られる独特の風景で、黄色の畑が点在し丘に彩りを添える。

8月も後半になると豆やビート(砂糖大根)の黄色みがかった緑の畑が残り、シンプルな風景が夏の終わりを感じさせる。


秋~autumn

豆類の収穫が始まり、円錐状に積み上げられた幾筋もの模様が独特だ。時間が経つと小高く積み上げてビニールシートを被せた「ニオ」が並ぶ。まさに秋の美瑛の風物詩だが、少しずつこの光景が減っているようだ。豆類とは時期を少しずらしてビートの収穫が始まる。

この時期は朝霧が多く発生し、日の出と重なって劇的なシャッターチャンスが訪れる。

10月も後半になると、カラマツ林が黄金色に染まり十勝岳連峰には冠雪が始まる。



冬~winter

11月初旬には美瑛の丘にも初雪が降ることが多い。秋捲き小麦の緑の畑も雪化粧になりこのまま越冬する。

本格的な冬を迎えると丘は白一色となり、光の反射によって色合いが変化して美しい。最低気温は零下20℃~30℃となることも珍しくない。