念願の五島列島へ

九州の最西端、長崎県五島列島。小値賀島での地域活性化の動きから関心を持ち始めた場所だ。昨年、世界遺産にも登録され、一般的な関心も高まっている。その中心の福江島と小値賀島&野崎島に行ってきた。

福江島での旅は、遣唐使の最後の寄港地で日本遺産にも登録された三井楽の集落から。西暦700年代、空海はここから朝鮮半島に向けて荒波の中を渡航したという。柏地区にある「辞本涯」の碑t空海像、その向こうは東シナ海だ。

 

海に面した風の吹き抜ける場所に一面に干してるものは、うすく皮のように切ったサツマイモ。ちょうど作業に来たお母さんに聞いてみると、「かんころもちを作るんだよ」と。サツマイモを薄切りにして茹でた後、天日で干したものを「かんころ」という。これをもち米と一緒についたものが「かんころもち」。残念ながら食べる機会はなかったが、五島を代表する特産になっているようだ。

島の南部、里山風景が広がる田尾地区へ。16年前に廃校となった旧田尾小学校を改装したレストラン「TAO FLAT KITCHEN」でランチ。ここは、北欧ブランドの「NORDISK VILLAGE GOTO ISLAND」としてグランピング機能をもった宿泊施設ともなっている。

スタッフの桑田さんに館内を案内いただき、代表の有川さんともちょっと会話。千葉県白浜の「シラハマ校舎」の話したら、多田さんとともに取材を受けあことがあるという。桑田さんはシラハマ校舎にも行ってみたいとか。

廃校のある風景へ

 

NHKのトレッキング番組紹介された「御岳(みたけ)」へ登った(途中で道を間違えて時間ロス)あと、大急ぎで大瀬崎灯台へ。ここはパンフレット見て初めて知ったのだが、この風景がなかったら福江島には来てなかっただろう、というくらいの今回の旅の筆頭目的地。福江島の西端、東シナ海に突き出た岬にその姿を現す。灯台までは下って上って往復40分。その後17時くらいに日没を迎える。

あいにくの黄砂で見通しは悪かったが、日没時の絶景は期待どおりの美しさだった。目の前の大海原の遥か先は中国大陸だ。

初日の夜に何げなく入ってしまった居酒屋「Zenや」。食事だけのつもりが、店主との会話の流れで焼き鳥セットに焼酎お湯割りを注文。他に客も居なく、千葉の船橋から来たと話したら「昔は東京に出ていて千葉の志津に住んでいた。京成船橋でJRに乗り換えていた。」とか。南青山の富士フィルムで社員用のカフェで働いていたようだ。東京で結婚したが奥さんが亡くなり、一人で東京は辛いということで五島に戻った。「お父さんは……」とずっと話しかけていたけど、聞いたら62歳ということで年下でした。

福江島からフェリーで小値賀島へ。五島列島の島々を巡りながら南から北へ移動する快適な船旅だった。

小値賀島での宿泊は「古民家ステイ」。空き家となっていた立派な民家を米国人アレックス・カーによって再生したものだ。港近くの街並み歩きや居酒屋での時間もゆったり流れて心地よい。

小値賀島から町営の船でガイドとともに無人島の野崎島へ。今回の五島列島の旅の目的地の一つだ。

19世紀中頃に潜伏キリシタンが移住した集落跡がり、野首集落には明治に入って建設された野首教会が今でもひっそりと立っている。近くの旧野崎小中学校は「野崎自然学塾村」として、宿泊や休憩、自然体験などの拠点となっている。今回はここで五島うどんを作ってのんびりとランチ。

廃校のある風景へ

 

福江島と小値賀島での計四日間の旅は好天に恵まれ、思い残すことなく帰路につくことができた。五島列島の数ある島々の一部ではあったが、遠い西の果ての空気感は記憶に残るものとなった。