群馬県中之条町の廃校めぐり

2009年に始まった「中之条ビエンナーレ」が今年で6回目を迎えました。群馬県北西部の山あいの町に163組のアーティストの作品が集まりました。

しかし何よりも素晴らしいのは、この町では廃校となった校舎を大切に保存、活用していること。今回のビエンナーレの舞台もその校舎が中心となっています。

詳細は里山ギャラリー廃校の風景へ→

 

中之条の市街地から車で約20分の山あいにある旧栃窪分校。明治23年創立で、昭和50年に旧名久田小学校の分校として閉校となった。現存の建物は昭和30年代に建てられたもの。校舎の入り口には記帳ノートが…人の気配の感じられない周辺ですが、ここを目指してくるファンもいるのでしょう。

名久田地区にある旧名久田教場。昭和22年に名久田中学校として開校した、ここもかなり古い校舎です。閉校後は一時デイサービス施設として使われてたという。広いグラウンドではお年寄りがゲートボールを楽しんでいる。

 

この最上階の踊り場の位置にある小部屋、他の廃校でも時々見る造りです。構造的な空間の有効活用なのでしょうか。

 

伊参地区にある旧第四中学校。木造とはいえ立派な校舎で、「伊参スタジオ」として一般公開されています。過去にこのあたりを舞台とした映画が作られた際には撮影拠点となったという。今でも映画関係の資料や備品の展示、秋には「伊参スタジオ映画祭」が行われています。

旧五反田學校。明治42年建築の木造校舎が今でも残っていて、町指定重要文化財となっている。校舎の中は床も壁も窓も天井も、その歴史を感じさせる懐かしさに心がぐっときてしまう。

建築的にも当時の最高技術を結集したという。

 

 

 

 

 

この教室は「芸術祭」の菅沼稔さんの作品。壁全体をキャンパスとした美しい色彩と、ポツンと置かれた古びたイス。子供たちの声が聞こえなくなった寂しさを感じます。

 

 

 

伊参地区には、H25年に閉校となったばかりの旧伊参小学校もあり、今では「イサマムラ」というネーミングで作家のアトリエとして活用されています。

四万地区。温泉街から坂を上るとたどり着く旧第三小学校。明治5年に四万小学校として創立し、平成12年に閉校となった。こちらもかなり古い木造校舎で、広い校庭には遊具なども残されている。

四万温泉には、「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルとなったという旅館もあり、観光バスも訪れる山あいの温泉地です。

中之条の市街地にある「ミュゼ」。ここは旧吾妻第三小学校で、明治18年創立の明治初期らしい和洋折衷の建物です。凹型の白い校舎が美しく、今でも中之条町歴史民俗資料館として活用されています。

 

 

その他、沢田地区には、近年閉校となった旧沢田小学校もあります。

 

 

 

 

こちらは市街地にある旧酒蔵「廣盛酒造」。芸術祭の会場として酒蔵の建物が公開されました。

佐野彩夏さんのこの作品、今回一番印象に残ったメルヘンチックな作品。これからも注目したい若いアーティストです。

 

中之条町には、その他にも近年閉校となった旧沢田小学校もあります。 

蟻川地区の「旧第四小学校第三分校」は、芸術祭の会場でなかったこともあり見逃しましたが、次の機会があればぜひ訪れてみたい。

いずれにしても、開校となった校舎の保存や活用へのこの町の姿勢はとても素晴らしいです。