愛媛県内子町の里山を巡る

内子は、江戸時代に城下町松山と大洲を結ぶ街道沿いに栄えた商人の町です。今でも商家の街並みや大衆歌舞伎であった「内子座」が残り、当時の賑わいを彷彿させます。

 

その内子の中心地から車で20分ほどに位置する河内地区。ここにはちょっと趣のある屋根付きの橋、「田丸橋」があります。1944年に作られたといわれ、当時は木炭や農作物の倉庫として、農夫たちの休憩の場としても使われていたという。町指定有形文化財として、保存会にて大切に守られています。あえて言えば周囲の景観が荒れつつあるのが残念…

NHKドラマ「坂の上の雲」の名場面でも、ここの田園風景をバックにこの橋がロケ地となりました。

 

 

河内からさらに山道を上っていくと辿り着くのが石畳地区。山頂に近いと思われる位置からは、遠くの斜面にへばり着く集落も見渡せます。ここには弓削神社の「太鼓橋」という屋根付きの橋もありますが、観光で来る人などほとんどいない。

しかし、この石畳集落をぐるっと歩くと、山間部の農村の生活と知恵、守り続けてきた神社や道祖神、銘木などなど、里山の要素がいっぱい詰まった村でした。

こちらは泉谷地区の棚田。日本の棚田百選に選ばれている。

標高500m近くの斜面に、4ha,95枚の石積みの棚田が広がります。休耕田がほとんどなく、日本の数ある棚田の中でもここの景観は美しい。すでに稲刈りが始まっていますが、「棚田を守る会」による農業体験・交流イベントが翌日であった。そんな活動がこの美しさを維持しているのでしょう。今後、宿泊所も計画中だとか。

石垣の高さからしてかなりの急斜面。

最後は内子から離れて、お隣の伊予市へ。伊予灘に沿って走るJR予讃線。ここ下灘駅は背後に急な斜面が迫る小さな無人駅です。目の前にはただただ、青い海と青い空。

JRの「青春18きっぷ」のポスターにもなった写真に惹かれてやってきました。「前略、私は日本のどこかにいます。」のコピーも素晴らしい。